自分を覚えていてくれるうれしさ ― 2015年09月05日 18:50
久しぶりに「五福星」というラーメン屋さんに行った。太めの縮れ麺に絡む,香り高い醤油スープがお気に入り。トッピングのバラ肉チャーシューがまた絶品で,よく味の染み込んだ赤身と,旨味が凝縮され,口の中でぷるんと溶ける脂身がたまらない。この店で初めてラーメンを食べたのは20年ほど前。当時は別の場所で営業していた。味にはまって足繁く通った時期があったが,店の移転で自分の活動圏から離れてしまったためにほとんど利用しなくなっていた。今日は,所用で近くを通ったので久しぶりに食べに行った。3年ぶりくらいだと思う。
自分にとって定番の肉そばを注文し堪能した。麺が見えないほど一面に敷き詰められたチャーシューを存分に楽しめる一品。移転前と比べて味に多少の変化はあるが,納得させるうまさに変わりはない。スープまで飲み干し,満足した気持ちで会計をした。来て良かったと思った。
駐車場に戻り,車に乗り込む。シートに腰を落として安全ベルトを締めていると,思いがけないことに,店の女将さんが小走りでやってきた。自分に用事があるらしい。ドアガラスを下ろした。
「以前からご来店いただきましてありがとうございます。前,◯◯に店があったときから来ていただいて・・・」
来店に対するあいさつはどこの店でも行うものだ。「いつもご利用いただきありがとうございます」などは,接客のいろはではないかと思う。でも,3年ぶりの客にわざわざ駐車場まで追いかけてきて,旧知の知り合いのように親しくあいさつをくれることは,あまりないだろう。これまでだって女将さんとは,個人的な雑談を交わしたことはないのだ。それなのに,自分がいつも頼んでいた肉そばのことまで覚えていてくれた。声をかけてくれたことのうれしさを伝え,次回の来店を約束して店を後にした。
自分が他者の中に存在していると知ることは,小さなことでも本当にうれしいことだ。自分はこのような喜びを相手に感じさせる気遣いをこれまで出会った人たちにしているだろうか。周りの人たちに対する感謝を忘れがちになることを反省した。
人との出会いは刺激になる。