中村文昭講演会 ― 2015年08月23日 09:01
講演会は,8/22,仙台三越6Fエルパークで18:30から始まった。「あこがれ先生プロジェクト」の立ち上げ企画として行われたもので,演題は掲げられていなかったが,テーマは「人間力=回りの者を惹き付ける人としての魅力」ということになると思う。参加者はざっと見て60〜70名といったところだろう。
プロジェクトの目的は,とかく叩かれがちで事なかれ主義に陥ることもある教師を応援し,ひいては地域や子どもたちの活力を取り戻したいということだと講演を聞いて理解した。
とはいっても,参加者全てが教師というわけではなかった。冒頭,中村さんが「この中で先生はおられますか?」と聞いたとき,手を上げた人数は,半数程度だったろう。
さて,本題である。一言で言って心を揺さぶられる講演だった。話を聞きながら自然と涙があふれてきた。頬を伝う涙が止まらない。それを回りの人に気付かれるのが恥ずかしくて,こっそりと指で払っていた。
中村さんが語る「人間力=人を引きつける魅力」を備えた人とは,相手を喜ばせることを考え即座に実践する人ということになると思う。中村さんは,豊富な経験の中から極めて具体的で映像が湧き上がるようなエピソードの数々を話してくれた。
仕事は,人を喜ばすためにするのだと中村さんはいう。例えばこんなことをしてきたそうだ。
飲み屋さんの仕事をしていたとき,中村さんは,初めて店に来た人の顔,飲んだ物,一緒に来た人,話した内容などをノートにメモしていたのだそうだ。そして,次回来店したときにこっそりとノートを見て,来店に対する挨拶とともにそれらの話をする。すると客は自分を覚えていてくれたことに感激するのだ。
これはわかる。この客の喜びはどれだけだっただろう。自分を認めてもらえることのうれしさ,しかも,おもいがけない相手からの親密な関わり。これは間違いなく感激する。人を喜ばせるということは,その場で臨機応変に対処することばかりでなく,相手が喜ぶことを楽しみにして事前に下準備を行うことも必要なのかと恐れ入った。店に来る人の数を考えれば,報われるともしれないこの下準備のすごみが感じられる。人を喜ばせることへの覚悟がある。
中村さんにとって,人から物事を頼まれることはチャンスなのだそうだ。「あんたの予想以上のことをして喜ばせてやる」と考えるのだそうだ。耳かきの話。
こたつで家族がくつろいでたとする。ちょうど自分が立ち上がっとき,家族から「立ったついでに耳かきとってくれ」と頼まれた。「えー」とか「めんどくさい。自分でやれ」と言いそうになるこの場面,どうする?
こんなときは,即座に「はい,Yes,喜んで」のどれかで返事をして,耳かき,綿棒,ティッシュの3点セットを届けるのだそうだ。これは,相手が要求した以上の配慮である。すると,相手はありがとうの気持ちがあふれ出し,自分もうれしくなる。こうした相手を喜ばすことを真っ先に考える家族は,感謝と愛情にあふれたすてきな家族になるだろう。
人を喜ばせることは,のほほんとした生活にはありえない。相手が喜ぶ姿を描く想像力とそれを行う決断や実践力が不可欠だと感じさせられた講演だった。
一人の先生のハイタッチによる挨拶が,クラス,学年,地域を変えていく話や,中村さんの息子が留学するためにひと足早く学校を去る際の友達との別れ話など,一人の「人間力」が回りに大きな影響を与えた珠玉のエピソードの数々は,思い出して今も泣きそうになる。
中村さんの講演会を聴くのは2回目だが,前回以上の感銘を受けた。次回の講演を楽しみにしたい。
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