ふきだまりにたまるもの ― 2015年08月27日 00:40
我が家は北,南,西の三方を住宅に囲まれ,東側が地域の皆さんが利用する生活道路に接している。この道路は南北に50mほど伸びており,左右の道沿いには,11件の住宅が密集して建っている。我が家はちょうど道路の中間地点にあたる。
ここに住み始めてから15年以上経つが,ずっと不思議に感じていることがあった。風の強い日の翌日に,道路と我が家の敷地を隔てる植え込みの根元にだけ落ち葉やゴミがたまっているのである。風が運んでくるのに違いないのだが,道路に立って南北を見渡してみると落ち葉やゴミがあるのは,我が家の前だけなのである。
近所の方々は,我が家に比べて掃除の頻度が高いために,落ち葉やゴミを見かけないとも考えられ,それも確かだと思うが,それにしても我が家の前は見かけることが多いと思うのだ。また,「隣の芝は青い」ことを差し引いても多いと思うのだ。どうも我が家は風のふきだまりになっているらしい。
ふきだまり=風に引き寄せられた雪や落ち葉などが集まり溜まっている所(by大辞林)
このように風によって雪や落ち葉「など」が集まる所がふきだまりであるが,「など」とは何か。先日,意外な「など」に出会ってしまった。次の写真をご覧いただきたい。

お分りいただけただろうか。
体長1cm弱の羽虫である。全て死んでいた。場所はとある行きつけのファーストフード店。窓際の席に座り,ふと外に目を向けた時に目にしたものを思わず撮影したものである。手前はガラスで仕切られているので襲われる心配はないが(そもそも死んでいるが…)見つけた時は一瞬ぎょっとした。ガラスの仕切りがあるとはいえ距離にして30cmである。
角にだけこれだけの死骸が集まっていることから,ふきだまっていることは間違いない。見事に虫だけが集められた嫌なふきだまりだ。
コーヒーを口にしつつ,しばらくの間,見るとはなしに眺めていたら,ある疑問が湧いてきた。「この虫はいつ死んだのだろう。そしてなぜ死んだのだろう」
ここから妄想の始まり。
これらの虫はその習性から,夜の間にブラインドの隙間から漏れ出た光に誘われて集まってきたのだろう。生きている間はきっと,ガラス面のあちこちに虫が這っていたのだと思う。そんなとき運悪く風が吹いてきた。それほどの風ではなかったが,羽虫たちを翻弄するには十分な風だった。ガラス面に沿って巻くように移動した風は,虫たちを巻き込みながらこの角で渦を巻いた。もがく羽虫たち。
「やばいぜ巻き込まれちまった」
「うおう目が回る!」
「にげろ!ぐわ…渦から逃げ出せん!」
風に囚われた虫たちは,どれだけもがいてもそこを抜け出す事ができなかった。文字通り虫の息だ。そして翌朝…そこには戦いに敗れたものたちの姿が残されるのだった。ふきだまりの跡とともに。
おわり。