天気を心配しながらする洗車 ― 2015年10月03日 00:50
今乗っているマイカーは昨年の秋購入したもので,間もなく1年が経とうとしている。車体の色が,汚れの目立つ「スーパーホワイト」であるため,定期的なケアが欠かせない。納車以来,月1〜2回の洗車と3〜4ヶ月に1回行う車体のコーティングによって,なまめかしい輝きを保持していた。この間までは...。
コーティングは塗装面の保護と艶出しを行うものだ。その効果が持続している間は,多少車が汚れても,洗車によって表面のホコリや水垢を洗い流せば,再びなまめかしい艶を浮かび上がらせる。しかし,コーティング効果は時間とともに失われるものだ。前回の施工から半年近く経過したマイカーは,洗車後の艶に物足りなさを感じるようになっていた。洗車をして綺麗にはなっても,うっとりするような色っぽさが抜けてしまった。
そこで2週間ほど前から,車をピカピカに磨き上げる計画を進めてきた。
自分が車のケアで利用しているのは「カーピカネット」の製品群である。洗車,下地作り,コーティングの一連の作業をコーディネートしてくれる店である。手持ちが少なくなってきたカーシャンプーとコーティング剤を追加で仕入れ,ケアできる日を待った。
作業は直射日光を避けて行う。我が家の駐車場はカーポートがないため,2〜3時間の作業時間を取れる曇り空の日が望ましい。平日は仕事のため,作業は週末に限られる。
週間天気予報で週末の天気を確かめ,「晴れのち時々曇り」という予報を見ては,「時々曇りとは連続何時間,太陽が隠れているだろう」などと頭を悩ませていた。好天気の予報に,今週末の洗車は半ば諦めかけていたが,思い立ったらすぐに実行しないともやもやが溜まってくる人間であるため,気持ちは曇りマークだった。
予報では木曜日が曇りのち雨,その後金曜日にかけて傘マークとなり,土曜からしばらくは好天となっていた。やるならこの木曜日が狙い目だった。しかし平日。時間が取れない...と思っていたら,木曜日当日になって,午後3時から6時くらいまで時間を取れることになった。やるならここしかない!
急いで家にかえり作業を始めることにした。作業時間は確保してある。問題は天候だった。すでに灰色の雲が重く空を覆っていた。今にも雨を落としてきそうな空模様。洗車〜下地処理〜コーティングの作業において多少の雨は問題ないが,日本海上に3つの低気圧が合体して成長した台風規模の低気圧があり,暴風と激しい雨が懸念された。どうしてもその前には作業を終えたかった。
作業は午後3時から始まった。カーシャンプーによる洗車を終えて20分。その後下地処理。車体パーツごとに処理と洗浄を行うため時間がかかる。途中,冷たい風が強くなってきた。嫌な予感。3分の2の下地処理を終えた時,ついにぽつぽつと雨が落ちてきた。ここまでかと思ったが5分ほどで雨は止んだ。空の色はいよいよ黒さを増しているため,小休止にすぎないことは明らかだった。
下地処理を終えた3分の2は,表面がむき出しの状態である。そのままにしておくことはできないと思い,そこまでのコーティングを先にしてしまうことにした。最悪,残り3分の1は別の機会になっても良い。
スポンジにコーティング液をつけて塗り伸ばし,少ししてからパーツごとに洗い流す。下地処理が済んだところを全てやり終えるまでに何度か雨が降っては止みを繰り返した。はっきりしない天候だったが,本降りにはならなかったので「ええいままよ」と残りの部分も下地処理からコーティングまでやってしまった。
雨が落ちてくるたびに何度か休憩を挟んだので,作業時間は2時間20分ほどかかった。コーティングのできよりも,とにかく終わってホッとした。
作業中,近所の方が何度か家の前の道路を通っていった。時折降る雨の中,洗車をしている自分のことを,さぞ奇特な人だと思ったことだろう。どうせこの後雨が降って汚れるのにと...。
「これはですね,洗車というより,コーティングなんです。単に汚れを落としているのではなくて,長い目で車を大事にするためにですね...」
と,心の中では何度も言い訳をしてみた。でも,そんなことをムキになって主張されても気持ち悪さは募るばかりだ。忍の一字で耐えることにする。雨の代わりに時間が全てを流し去ってくれるだろう。
翌日,午後から太陽が顔を出し,秋らしいさわやかさで世界を照らした。その光の中,半年ぶりの施工を受けた我が愛車は,うっとりするような色っぽさを浮かべていた。昨日あった全ての苦労はもう忘れた。
そばを食べに山形へ ― 2015年10月10日 20:30
蕎麦を食べたくなり,山形に出かけた。自分が住んでいる仙台にも蕎麦屋はあるが,山形の蕎麦は,汁が自分好みでより好きだ。口の中いっぱいに広がる出汁の風味にきりりと締まった醤油の香り,そこに加わる強めの甘味が特徴だと思う。蕎麦を一つの観光資源にしているだけあり,店ごとに味の個性が際立っていて楽しい。車で1時間ほどの距離であることも,ドライブにはちょうど良い。
...ちょうど良いのだが,昨晩の飲み会の影響で本日は朝から寝不足だった。そのため,目当ての店,山形市内にある「長右工門」に到着するまでに,2度車を停めて仮眠をする羽目になった。結果,到着が午後2時半頃になってしまい,店は閉まっていた。どうやら昼休憩に入ったらしい。
一番のお気に入りの店であり,ぜひ食べたいと思って出かけたのだが,夕方まで待つこともできない。古民家風の店先にさよならを告げ,次に向かった店は「あずまや」。帰り道沿いにあるため都合がよかった。
午後3時という中途半端な時間。客は老夫婦が一組のみ。カウンター席に座り,品書きを眺めていると,ご近所さんらしい元気の良いおばあさんが,店員のおばちゃんに世間話を投げかけながら入ってきた。二言三言会話を交わしてテーブル席に着くと
「んじゃあ,天ぷらそばでももらうかね」
常連さんらしい気さくさで,2000円オーバーの品を「いつもの」という感じで注文するおばあさん。普段使いの店的な感じがなんだかかっこいい。
自分は鴨南蛮そばを注文した。季節メニューなので,扱っている時期は必ず食べる。鴨肉独特の香ばしい風味がたまらなく美味しい。必ず添えられている焼きねぎのとろりとした柔らかい甘さがまた良い。
堪能して会計を済ませ,店を出ようとすると,先ほどのおばあさんが玄関横のテーブル席で天ぷらそばと格闘している最中だった。大きな折り箱にそばと天ぷらがまとめて盛り付けてある。立派な海老の尻尾が宙に向かってぐーんと反り返り,箱からはみ出しているのを睨みつけながら,口の方をテーブルに置いたそば猪口に寄せてそばをすすっていた。活力を感じさせる食べっぷりでやっぱりかっこよかった。
加茂水族館の魅力 ― 2015年10月14日 12:45

三連休最終日,有意義な休日にしたくて,山形県鶴岡市にある加茂水族館へドライブに出かけた。一番の目的は,綺麗に色づいたであろう山の紅葉を見ながらロングドライブを楽しむこと。行き先は,めくるめく山の彩りを楽しむことができればどこでもよかったのだが,クラゲで有名な加茂水族館が今年改装したという話を聞いたのでそこに決定。
全ての行程で高速道路を使えば2時間半で到着するところ,ゆったりと一般道路で向かうことにした。ただ,宮城-山形間の山越えの面倒と,山形市内の渋滞は避けたかったので,その間のみ高速を使った。あちこち立ち止まって,色とりどりの色彩に目を楽しませたり,名物の玉こんにゃくを頬張ったりしながら,時間を気にしない一人旅。4時間かかって加茂水族館に到着した。
時間はPM1:40。後で思い知るのだが,往路にこれだけの時間を使ったのは判断ミスだった。2回もこんにゃくを食っている場合ではなかったのだ。もっと水族館で過ごすことに時間を割くべきだったのである。
さて,加茂水族館は全国区の人気スポットだけに多くの観光客で賑わっていた。小さな子供たちを連れ添った家族と初々しいカップル。そして,時々到着する大型バスは多くの年配客を運んできた。中には,中国語を話す方々もちらほら見かけた。
受付で料金の1000円を支払い「水族館の入場料ってこんなに安かったっけ?」と思いながら入場した。最初は山形の歴史に関する展示から始まった。一瞬,博物館と混同してしまうような戸惑いを感じつつ興味深く見て行く。
この地域を納めていた殿様は釣りを奨励していたということで,江戸の人々と海の接点を示す資料から始まり,明治から昭和初期にかけてと思われる地域の人々の暮らしや風俗を写したモノクロ写真が多数掲示してあった。そしてその写真を見終わって振り向くと,昔の里山を模したディスプレイを背景にして,そこに住み着いていた魚たちが展示されていた。
イワナ,ヤマメ,鯉,雷魚...その他,今より豊かだったであろう頃の自然を,郷愁とともに思い返してしまう,沼や川の淡水魚たちが元気に泳いでいた。その後は,順路に沿って海の沿岸で取れる比較的小さな生き物からだんだん深い海に住む生き物たちが見られるようになっているようだった。過去から現在へと続く時間の経過とともに,近視眼的視野からだんだん広がりと膨らみを感じさせる構成が面白いと思った。
そして,世界一の展示種類を誇る,お待ちかねのクラゲの登場だ。

クラゲによっていろいろな展示の仕方をしており,黒をバックにクラゲの白をコントラストで見せる展示も良いが,1番のお気に入りを一つ示せと言われれば,多色LED照明による幻想的な魅惑のクラゲたちだ。...美しい。
この水族館にはクラゲ以外にも,猛獣であることを再認識させるワイルド感満点のオットセイや,3歳くらいの子に「うわー気持ち悪い,気持ち悪い」と言わせ,親に「気持ち悪いなら見なきゃいいでしょ」とあきれられながらも子供たちの目を釘付けにする,3匹の大ダコなどがいて,個人的には見所が満載だったのだが,遅い時間に来館した「つけ」で帰りの時間を気にしなければならなかった。
天候が良くなかったこともあり,暗い中での長距離運転は避けたかった。帰りに3時間を見越すと,3:00には出発したい。お土産物も見なければならないしと考えると,駆け足での見学になってしまった。無念を感じつつ帰路に着いた。
コーティング2回目の愛車 ― 2015年10月18日 09:39
朝目覚めると,土曜日の空は,雲ひとつなく晴れ渡っていた。2週間前に続き2回目のコーティングをしようと,昨日の夜から胸を躍らせていた自分にとっては少々がっかりだ。その作業は,日差しのない方が望ましいからだ。昨日の予報では,午前中いっぱいは曇りだったはずなのにと,スマホを取り出し天気予報サイトを確認すると,午前中から晴れマークに変わっていた...。
自分は車のコーティングが大好きだ。いや,というより,冷たく重々しい,ぬめったような金属の光沢が好きだ。それを見るためにコーティングをして,その輝きを保っているのだ。周りの光景を影として写し込む車体の輝きには,じんわりと静かな興奮を呼び覚ます魅力がある。
期間を空けずにコーティングを繰り返すのは,皮膜を重ねることによりツヤを成長させるためだ。また,前回の作業はコンディションが悪かったので,改めて丁寧にコーティングしたいという思いもあった。
思いがけない快晴に気持ちが揺れたが,じりじりと車体を焼くような日差しにはならないと判断し,予定通り作業を行うことにした。
作業手順は,次のようになる。
1 車全体に水をかけて大きなホコリや砂を洗い流す。
2 車体全体を泡立てたカーシャンプーで洗う。
3 前面や側面に付いたピッチ・タールを専用液で拭き取る。
4 表面の水垢を落とし,油脂を取り除くために洗浄剤で拭く。
5 大まかに車体の水を切る。
6 コーティングする。
7 コーティング剤を洗い流す。
8 水滴を拭き取る。
2時間の作業を終えた愛車は,さらに魅力的なツヤをまとっていた。快晴の光を浴びてなまめかしい深い光沢を放っている。満足。